ツール概要
このツールキットは、ナッジの検討を行うにあたっての基本的な検討プロセスを示すものです。全7ステップのワークシート形式となっているため、手順に従って検討を行うことで、効果的なナッジを検討することに役立ちます。
利用者・活用シーン
次のような問題意識を抱えている行政職員の方に役立ちます。
初めてナッジを活用しようとしており、順を追って体系的な検討を行いたい
これまでにナッジを活用したことがあるが、改めて順を追って体系的な検討を行いたい
ツールレベル
初級
ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提
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■ 意義・特徴
ナッジを活用するにあたっての必要最低限の検討を網羅的にまとめたものです。 ナッジの検討では、「損失回避」や「社会規範」などの手法論に目が行きがちですが、最も重要なことは人間中心に考えるデザイン思考などのツールを駆使して、人の行動のメカニズムを理解することです。
このツールキットを使用することで、行動変容を促したい対象者に対する理解を深めることにつながり、ナッジによって後押ししたい行動を阻害している要因を明らかにすることで、効果的なナッジを検討することに役立ちます。
■ 使い方
一人で行うことも可能ですが、職員同士複数人で集まって行った方が大きな気づきが得られます。ファシリテーターを置いた方がよいですが、特段のスキルは必要ありません。
■ 実績・有用性
ナッジを検討する過程では、「ペルソナ」や「ジャーニーマップ(行動プロセスマップ)」などのデザイン思考の視点を取り入れています。自治体職員がデザイン思考のような柔軟な視点を活用することは、従来の論理的思考では解決が困難な「厄介な問題(Wicked Problem)」に対する有効なアプローチと言われており、住民に対する解像度を高めることで新たな気付きが得られる可能性が 高まります。
福井市ナッジ・ユニットでは、チーム設立後初めてナッジの検討を行うにあたり、本ツールキットを使用して、必要な検討を体系的に行いました。その結果、令和6年度のベストナッジ賞コンテストにて最高賞となるベストナッジ賞(環境大臣賞)を受賞することにつながりました。
このことから、本ツールキットを使用することで効果的なナッジを検討することに資するものであると考えられます。
■ 次のステップ
(参考文献)
[行動経済学]
『自治体職員のためのナッジ入門―どうすれば望ましい行動を後押しできるか?―』(特定非営利活動法人Policy Garage,2022)
『行動経済学の使い方』(大竹文雄,2019)
『NUDGE実践 行動経済学 完全版』(リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン,(訳)遠藤真美,2022)
[デザイン思考]
『デザイン思考2.0―人生と仕事を変える「発想術」―』(松本勝,2023)
『行政×デザイン 実践ガイド―官民連携に向けた共同のデザイン入門―』(中山郁英,2024)
『UXデザインの法則―最高のプロダクトとサービスを支える心理学―』(Jon Yablonski,[訳]相島雅樹,磯谷拓也,反中望,松村草也,2021)
[統計学]
『統計学が最強の学問である―データ社会を生き抜くための武器と教養―』(西内啓,2013)
『「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法―』(中室牧子・津川友介,2017)
『EBPM(エビデンス(証拠・根拠)に基づく政策立案)とは何か―令和の新たな政策形成―』(小倉將信,2020)
■ 用語解説
ペルソナ: ペルソナとは、サービスや商品の典型的なユーザー像のことです。「ターゲット」よりもより深く詳細で、年齢、性別、居住地、家族構成、趣味などに至るまで、可能な限りリアリティのある詳細な情報を設定することで、具体的なサービス対象者を思い描き、より本質的な対象者理解につながります。
ジャーニーマップ(行動プロセスマップ): ジャーニーマップ(行動プロセスマップ)とは、ユーザーによる一連のサービス体験を「旅(ジャーニー)」になぞらえ、各場面でユーザーが体験する感情に基づいて、それぞれの課題を可視化していく手法です。デザイン思考の手法の中でも最も広く用いられるフレームワークの一つであり、行政でも利用されることの多い手法です。
関連研究・事業
行政情報システム研究所調査研究
掲載年月日
2024年11月
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