■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません
上級
■どんなツールなのか
このツールを利用することで、準委任契約に基づくアジャイル開発を実践する際に対応すべきタスクの全体を把握することが可能となり、システム調達計画の策定に役立てることができます。また、組織的なアジャイル開発の推進を行う際の環境整備に必要なタスクを把握することができます。
具体的には、リストの項目をWBS作成時の検討項目あるいはチェックリストとして利用することを想定しています。
■誰の役に立つのか
次のような問題意識を抱えている行政職員の方に役立ちます。
情報システムの所管部局において、準委任契約に基づくアジャイル開発を検討することになったが、どのような準備をすればよいのか、情報や知識が不足している
DX推進部門において、組織としてアジャイル開発を推進していくにあたり、どのようなことに取り組めばよいのかを知りたい
■前提や予備知識は必要か
以下に関する基礎知識を有していることが前提となります。実践経験/実務経験があればなお望ましいです。
アジャイル開発
行政機関におけるシステム調達の流れ
準委任契約
■どのように利用するのか
1. 準委任契約に基づくアジャイル開発に取り組む場合
システム調達の計画を立案するにあたり、準備や検討が必要となるタスクを洗い出すときに使用します。アジャイル開発のプロジェクトそのものに取り掛かる前の段階となります。タスクリスト「1. 準委任契約に基づくアジャイル開発に取り組む場合」に記載の各項目を参照ください。
2. 組織横断的なアジャイル開発推進体制の整備に取り組む場合
DX推進部門等において、組織横断的なアジャイル開発の推進体制の整備を進める際に使用します。タスクリスト「2. 組織横断的なアジャイル開発推進体制の整備に取り組む場合」に記載の各項目を参照ください。
なお、1、2ともに各タスクの具体的な実施方法については、オリジナルの報告書にガイドが記載されています。各タスクの項番から報告書の該当箇所を参照できますので、辞書として利用することもできます。

(利用教材) ※「ダウンロード」資料参照
ワークシート: アジャイル開発タスクリスト(準委任契約/組織横断的推進) (MS Excel) (0.03MB)
ガイダンス: 行政におけるアジャイル開発の実践に向けた調査研究〈プロジェクト実践編〉(国内編)報告書 <https://www.iais.or.jp/reports/labreport/20240410/agile2023/>(PDF, 3MB)
■なぜ有用といえるのか(実績等)
本ツールのベースとなった事例研究は、東京都が2021年度以降実際に行ってきた下記の実績に基づいています。「こうすべき」ではなく「こうやった」という事実に、アジャイル開発の専門家からの知見を加味した、非常に実践的な内容となっています。
①行政機関における準委任契約
②アジャイル開発を前提とした調達・開発
③組織横断的なアジャイル開発の推進
④複数のプロジェクトを単一の契約で一括調達する“リソースを確保する契約
■もっと学びたい方は
(アドバンス研修・実習)
本ツールはあくまでも「プロセス」を示したものであり、いわば「器」です。「魂」であるスキルやマインドについては別途、体系的に身につける必要があり、このうち重要な項目については、本ツールの中でも言及されています。
(参考文献とその概要)
東京都アジャイル型開発に係るプレイブック🔗(東京都,2024更新)
東京都においてアジャイル開発のプロジェクトがどのように実践されたかを現場のリアルな声を拾いながら多角的に紹介しています。非常に読みやすく、親しみやすい“読み物”となっています。
行政におけるアジャイル開発の実践に向けた調査研究(行政情報システム研究所,2024)<https://www.iais.or.jp/reports/labreport/20240410/agile2023/>
本ツールの直接のベースとなったレポートです。東京都の取組について事例研究を行うとともに、それに基づいて、準委任契約に基づくアジャイル開発に必要なプロセスを体系的に示しています。
アジャイル開発実践ガイドブック(内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室,2021)
省庁職員を読者と想定してアジャイル開発についての基本知識を解説しています。
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 実践ガイドブック🔗 第3編第6章 調達(デジタル庁,2024更新)
標準ガイドラインは、ウォーターフォール型開発を基本とした情報システム開発のプロセスが示されています。こうした中でアジャイル開発を行う場合にどのような対応が必要かが場面場面で示されています。例えば、契約の場面については、第6章p.12に「参考:アジャイル開発を行う場合の契約方式」という解説が示されています。
(関連ケーススタディ)
【関連情報】
■関連ケーススタディ
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■関連フレームワーク
◆アジャイル開発プロセス
アジャイル開発に最も向いているのは、一般に請負契約ではなく、準委任契約とされています。 予め仕様を決め打ちにするのではなく、プロジェクトを通じてプロダクトを作り込んでいくアジャイル開発では、稼働や成果に応じて支払額が決まる方が望ましいからです。また、こうした形でのアジャイル開発をプロジェクト単独で実践することは非常にハードルが高くなるので、DX推進部門等が部門横断的に環境整備(ルール整備、人材育成、プロセス整備等)を進めることが重要となります。
こうした中、行政情報システム研究所では、東京都が行政機関ではほとんど例のない、準委任契約に基づくアジャイル開発事業を実施したことを踏まえ、2023年度に同庁の協力を得て、行政におけるアジャイル開発の実践に向けた調査研究を行いました。同調査研究の報告書では、同事業を通じて得られた知見を事例研究として形式知化するとともに、他の行政機関等でも活用できるよう、情報システム調達プロセスの流れに沿って整理しました。このプロセスには、以下の知見が含まれています。
①行政機関における準委任契約のプロセス
②アジャイル開発を前提とした調達・開発プロセス
③組織横断的なアジャイル開発推進部門の役割
④複数のプロジェクトを単一の契約で一括調達する“リソースを確保する契約”の方法
このレポートで示されたプロセスを実践することで、上記①~④を実践する際に検討が求められる課題やリスクを予め洗い出し、対処することが可能となります。
■関連ス キル
アジャイル開発
■関連研究・事業
行政情報システム研究所調査研究
■著作者・連絡先
狩野英司(行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授、有限会社ディーズリンク 取締役CEO)
■掲載年月日
2024年8月
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