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行政職員向けBPMN体験版

立命館アジア太平洋大学 狩野英司

編著者:

行政職員向けBPMN体験版

BPMNは現在、日本の行政機関で標準的に利用されている業務フローの表記法です。このツールは、行政職員がBPMNとは何かを理解し、自分でも読み書きできそうだという実感を持ってもらうためのものです。

■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません

初級

■どんなツールなのか


BPMNは、一度、読み方を理解してしまえば、誰にでも読めるものなのですが、最初はとっつきにくく、倦厭されがちです。このツールは、約40分間の短い時間で、効率的に、BPMNへの抵抗感を解消し、自分でも読めそうだ、という感覚を持ってもらうためのものです。

このツールを利用することで、次の効果が期待できます。

  • BPMNを理解してもらうことで、業務におけるBPMN利用について同意が得られる。

  • BPMNを使ったドキュメントを読むことができるようになり、業務改革に関わるコミュニケーションの活性化・円滑化が期待できる


本ツールでは、現在、100を超える自治体で導入されている「市民通報システム」(道路の問題などをアプリを通じて行政に通報する仕組み)のフローを例に取り、多様なステークホルダーがかかわる自治体業務の流れをBPMNによって簡潔に表現できることを学びます。


■誰の役に立つのか


業務改革やICT調達に関わる方で、まだこれまでBPMNに触れたことがない方に役立ちます。特に次のような方々です。

  1. ICT調達/業務改革を担当することになったので、BPMNの基礎知識を身につけたい

  2. ICT調達/業務改革プロジェクトにおけるコミュニケーションの活性化・円滑化のため関係者にBPMNの読み方を身につけてもらいたい


本ツールで扱うのは基礎的な知識のみですので、既にBPMNの標記に触れたことがある方にとっての新たな知識やスキルの習得は期待できません。ただし、「どのように周囲の方にBPMNを教えるか」という方法を学ぶ機会にはなります。


■前提や予備知識は必要か


特に必要ありません。



■どのように利用するのか


ワークショップや勉強会の教材として利用することを想定しています。一人で行うことも可能ですが、職員同士2~3人で集まって行った方が大きな気づきが得られます。スクール形式やオンライン形式でも行えます。ファシリテーターを置いた方がよいですが、特段のスキルは必要ありません。

具体的な利用の流れは以下の通りです。


(ワークの流れ)


  1. まず、会の目的を共有します。BPMNへの理解度も確認しておきます。BPMNに詳しい方にとって新しい知識はないので、「どのように周囲の方にBPMNを教えるか」を学ぶ場と捉えてもらうよう伝えます。

  2. 次に、BPMNの意義と表記方法について解説を行います。後述の「BPMN体験版の作成方法」のガイダンスを用いて解説を行います。

  3. 下記のガイダンスに沿って作業方法を説明し、参加者の方に実際にフローを記述してもらいます。所要時間は10分以内で設定して終了時刻を伝え、タイムリミットが来たら手を止めてもらいます。

  4. ワークの結果について周囲の2,3人で集まり、フローの流れを簡潔に説明し合います。自分が記載したフローで大きな問題がなかったことを確認し、自分でも描けそうだという自信をもってもらうとともに、人によって視点にある程度の差異が生じること、そして、その差異に対処するための記述ルールを作ることが必要であることを理解していただくためです。

  5. 最後に、ワークを通じて気づいたこと、これから取り組んでみたいことについて感想を述べあいます。自分の仕事でも試してみよう、ということを自ら言葉に出していただき、実践を動機づけることが目的です。

  6. なお、ワークシートには、業務の全体像を俯瞰的に理解するための「記述レベル」と、業務見直し等を行うための「分析レベル」があります。何らかの経験がある参加者は分析レベルの作成を求めるとよいでしょう。


(参考時間配分)


1. イントロダクション(5分)

3. BPMNの意義と記述方法の説明(10分)

4. BPMN体験版の作成(10分)

5. 結果の共有(10分)

6. 感想の共有(5分)


(利用する教材) ※下部「ダウンロード」参照


  • ワークシート: 行政機関向けBPMN体験版_ワークシート (PowerPoint) (0.06MB) 

  • ガイダンス: 行政機関向けBPMN体験版の作成方法 (pdf) (1MB)


■なぜ有用といえるのか(実績等)


行政職員向けのDX研修や業務改革研修において、これまで数十回の実績を経てブラッシュアップしてきた研修教材です。

以下は某基礎自治体における研修(2024年)での評価の一部です。

  • 特にBPMNについては分かりやすく表現できるので、引継書作成などに活用できそうだなと感じました。

  • 業務内容を見直す点において、フローの書き方は参考になった。講習の場で、ワークシート(実践)を伴いできたことが、よりイメージの定着になったのではないかと思う。


■もっと学びたい方は


(アドバンス研修・実習)


  • 本ツールはあくまで入口としての位置づけになります。BPMNは、読むことは誰にでもできますが、描くことはそれほど簡単ではありません。専門家や企業による伴走的な支援が得られない場合は、一度、企業や団体が提供している体系的な研修を受講することが望ましいです。


(参考文献とその概要)



(関連フレームワーク等)


  • 業務量調査:業務の見える化を行う際、最初に実施する業務の棚卸を行うための調査です。業務を作業レベルまで分解した上で、それぞれの作業にかかる業務の件数、頻度などを調査し、業務の全体像の把握と見直しに向けた検討の優先順位付けを行っていきます。組織や部門を挙げて業務フローを作成する場合は、業務の棚卸を行って全体像を掴んだうえで、優先順位をつけて計画的に作成していくことが重要となります。


​【関連情報】

■関連ケーススタディ

■関連フレームワーク

◆BPMN


BPMN(Business Process Model and Notation)は業務フローの記述法のうち、現在、日本の行政分野で最も広く利用されている記述法であり、情報システムに土地勘がない人でも理解しやすいのが特徴です。基幹業務システムの標準仕様書もデジタル庁の方針に基づき、BPMNで作成されています。

■関連スキル

業務改革, 業務見える化, 情報システム調達

■関連研究・事業

  • APU調査研究

■ダウンロード資料

ワークシート

ユーザー向けガイド

■著作者・連絡先

  • 狩野英司(行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授、有限会社ディーズリンク 取締役CEO)

■掲載年月日

2024年8月

■ご連絡・お問い合わせ

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