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チームでプロジェクトを進めていくための土台を揃える

プロジェクト憲章の作成<準備中>

編著者:

株式会社コパイロツト 米山知宏

プロジェクト憲章

プロジェクト憲章の作成<準備中>

ツール概要

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本ガイド(「プロジェクト憲章(Project Charter)」)では、プロジェクトを開始する際に関係者とすり合わせるべき要素と、その方法を紹介します。このガイドの内容を参考に、プロジェクト憲章の作成を通じて関係者間でじっくり腹を割って議論を重ねることで、これから取り組もうとしているプロジェクトは成功に向けての第一歩を踏み出すことができます。

利用者・活用シーン

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プロジェクト憲章は、プロジェクト開始のタイミングで作成するものです。作成したプロジェクト憲章は、プロジェクトを進めていく中で、そもそもの目的を関係者間で再確認したり、ふりかえりをしたりする際にも有用です。

ツールレベル

初級

ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提

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前提・留意事項

  • プロジェクト憲章の検討にあたっては、関係者間でじっくり対話をすることが求められます

  • そのため、ホワイトボード・付せん・ペンを用意するなどして、対話をしやすい環境を整えることが重要です

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■ 意義・特徴


プロジェクトを開始する際には、スケジュールや数値目標を設定する前に、プロジェクトを通じて何を目指すのか、なぜ私たちがそれに関わるのかという本質的なすり合わせが不可欠です。たとえば、「このプロジェクト、進めておいて」と書面で渡されるだけでは、誰もそのプロジェクトの意義を腹落ちすることはできないですし、プロジェクトを進めたとしても、よい成果を生み出すことは難しいでしょう。

 本ガイド(「プロジェクト憲章」)では、プロジェクトを開始する際に関係者とすり合わせるべき要素と、その方法を紹介します。このガイドの内容を参考に、プロジェクト憲章の作成を通じて関係者間でじっくり腹を割って議論を重ねることで、これから取り組もうとしているプロジェクトは成功に向けての第一歩を踏み出すことができます。

 プロジェクトマネジメントの国際的な知識体系の標準であるPMBOKの最新版(第8版、2025年)においても、プロジェクト憲章(Project Charter)は「プロジェクトの発起者またはスポンサーが発行し、プロジェクトの存在を正式に認可するとともに、プロジェクトマネージャーに組織のリソースを活用する権限を付与する文書」と定義されており、プロジェクト初期の立ち上げフェーズにおける中核的なドキュメントとして位置づけられています。

 プロジェクト憲章を作成することにより、以下の効果が期待できます。

  • プロジェクトに参加した際に、「どこを目指しているのか」「なぜこのプロジェクトをやろうとしているのか」「私は何を期待されているのか?」というモヤモヤを抱えることなく、腹落ちした状態でプロジェクトに関わることができる

  • そのため、プロジェクトメンバーは自律的に動きやすい状態になり、プロジェクトもより良い成果を生み出しやすくなる

 

■ 使い方


 まだ関係者がプロジェクトの内容を理解できていなかったり、腹落ちできていなかったりしている場合において、プロジェクトを開始するタイミングで使っていただくことを想定しています。

1人でプロジェクトの内容を検討する際にも使えますが、できれば関係者が複数人で集まって議論するために使っていただく方が望ましいです。

 

プロジェクト憲章活用の全体像


プロジェクト憲章を活用するタイミングは、大きく「プロジェクト開始時」と「プロジェクト推進時」の2つがあります。プロジェクト開始時は、関係者が内容を理解・納得するためにプロジェクト憲章を作成します。プロジェクト推進時にも、その内容を確認したり、ふりかえったり、アップデートしたりするために活用します。

 

(1) プロジェクト開始時:プロジェクト憲章の作成

 

プロジェクト憲章を作成するタイミングとしては次の3つが考えられます。

  • キックオフミーティング(以下「MTG」)前

  • キックオフMTG時

  • キックオフMTG後

 プロジェクト憲章の作成は、基本的にはキックオフMTGの前後で行われますが、どのタイミングでどこまで作り込むかは、プロジェクトの性質や、キックオフMTG時までにどの程度プロジェクト憲章を固めておく必要があるかによります。

 

 

ケース1:探索型

プロジェクトの方向性が定まっていない/ 関係者が少ない状況

ケース2:合意型 

プロジェクトの方向性が比較的明確 / 関係者が多い状況

利用するタイミング

  • キックオフMTG時に、後述「ワークの流れ」に記載するようなワークを関係者間で実施する

  • キックオフMTG時だけでは十分に議論できなかった場合には、キックオフMTG後も必要に応じてプロジェクト憲章の議論を継続する

  • キックオフMTG前に、主要な関係者で何回かMTGを行って議論し、資料として取りまとめておく

  • キックオフMTG時に、その内容について関係者と合意する

プロジェクト憲章作成の狙い

  • プロジェクトのゴールや方向性の探索

  • 関係者間での合意

ファシリテーター

  • プロジェクトオーナーからアサインされたプロジェクトリーダー

Ÿ   もしくは、プロジェクトメンバー

  • キックオフMTG前の議論:プロジェクトオーナーから依頼されたプロジェクトリーダー

  • キックオフMTG時の説明:プロジェクトオーナー

参加者

  • プロジェクトにアサインされたメンバー全員

  • キックオフMTG前の議論は、プロジェクトのゴールや方向性を議論すべきメンバー(たとえば、事務局関係者など、あるプロジェクトを推進するコアメンバーなど)

※ここでは、プロジェクトオーナー、プロジェクトリーダー、プロジェクトメンバーをそれぞれ以下の意味で用いています

  • プロジェクトオーナー: プロジェクトの最終的な意思決定と成果に責任を負う人

  • プロジェクトリーダー: プロジェクトの推進・管理を担い、チームを取りまとめる人

  • プロジェクトメンバー: プロジェクトの実務を担当し、成果物の作成等の業務遂行を行う人

  

(2) プロジェクト推進時:プロジェクト憲章の確認・アップデート

プロジェクト憲章は、一度策定したら終わりではなく、プロジェクトやチームをより良い状態にしていくために継続的に確認し、必要に応じてアップデートしていきます。プロジェクト推進時におけるプロジェクト憲章の活用場面には次の2つがあります。

 1つは、プロジェクトを進める中で行われる日々の会議の中での活用です。

たとえば、プロジェクトを進める中で実施している会議の冒頭で、プロジェクト開始当初に作成したプロジェクト憲章を軽くでよいので確認しておくと、プロジェクトのゴールを再確認した状態で、会議の議論を行うことができます。特に、チームが進むべき方向性を見失っていたり、プロジェクトが難しい状況に陥ったりした際に見返してみることで、チームが当初考えていた思いを再確認することができます。必要に応じて、プロジェクト憲章そのものをアップデートしていきます。

 もう1つは、プロジェクトで行うふりかえりの中での活用です。

プロジェクトの途中でふりかえりを行う際に憲章に立ち返ることで、目指していた方向からのズレに早く気づき、軌道修正の判断がしやすくなります。また、プロジェクト終了時やフェーズの区切りでふりかえりを行う際に、プロジェクト憲章を見返すことで、当初のゴールや合意事項に対して実際の進捗や成果がどうであったかを客観的にふりかえることができます。こうした振り返りを通じて得られた気づきは、憲章そのもののアップデートや、次のプロジェクトへのナレッジとしても活用できるようになります。

  

ワークの流れ


ワークの基本的な流れは下記のとおりです。これは、前述の「ケース1:探索型」「ケース2:合意型」のどちらでも活用できる基本プロセスです。ただし、「ケース2」の場合で、関係者が多いプロジェクト(例:全課長が関わる全庁的プロジェクトなど)では、関係者全員で下記を議論するのは難しいこともあります。その場合には、事務局メンバーなどのコアメンバーで下記のワークを実施することも可能です。これらの詳細な実施方法については、「ユーザー向けガイド」を参照してください。

 

  1. プロジェクトのゴールを議論する【必ず実施】

  2. プロジェクトストーリー(※1)を議論する【できれば実施】

  3. チームメンバー間(※2)でお互いへの期待を確認する【必ず実施】

  4. プロジェクトを進めていくうえでの前提となる価値観をすり合わせる【できれば実施】

※1プロジェクトストーリーとは、ゴールを実現するまでの大まかな道筋を描いたもの

※2ここでいうチームメンバー間には、事務局メンバーなどのコアメンバーだけでなく、必要に応じてキックオフMTG時の関係者なども含まれます。適宜、役割のすり合わせが必要なメンバーを選定します。

 

 なお、これらは毎回のプロジェクトですべてを実施しなければならないというものではありません。

 「1:ゴール」「3:お互いへの期待」については、プロジェクト開始時に必ず議論・確認した方がよいですが、「2:プロジェクトストーリー」「4:価値観」についてどこまで議論・確認すべきかは、議論にかけられる時間なども踏まえながら要否を判断して構いません。

 

(所要時間)

それぞれ30分〜120分程度です。場面や議論の必要性等に応じて時間を調整します。

 

(それぞれのワークの進め方)

1)プロジェクトのゴールを議論する

2)プロジェクトストーリーを議論する

3)チームメンバー間でお互いへの期待を確認する

4)プロジェクトを進めていくうえでの前提となる価値観をすり合わせる

 

使い方のコツ・注意点


  • プロジェクトのゴールや方向性などは、一度議論して終わるものではありません。特に、昨今のDXや変革を目指すプロジェクトでは、「そもそも何が問題なのか、何が要因なのか」「私たちは何を目指すべきなのか」ということを見出すことは簡単なことではありません

  • そのため、プロジェクト憲章の議論は、続けようと思えばどこまでも続いてしまいますが、一方で、どこかのタイミングで議論を区切らなければ、実際にプロジェクトを進めていくフェーズに入ることができません

  • そのため、プロジェクト憲章を議論する際には、「じっくり議論しつつ、でも、ある程度のところでプロジェクトを開始する。そして、プロジェクトを進めながら憲章もアップデートしていく」というバランス感覚が求められます。

 

■ 実績・有用性


IT分野では多くのプロジェクトで策定されていますが、非IT分野でも、例えば、横須賀市のカスタマーハラスメント対策プロジェクトなどで実施されています。

 

■ 次のステップ


(アドバンス研修・実習)


]特になし

 

(参考文献とその概要)


  • PMI日本支部『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準』

  • Project Management Institute PMI『A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) — Eighth Edition and The Standard for Project Management (English Edition)』

  

■ 脚注・用語解説

 

用語

意味

キックオフミーティング

(キックオフMTG)

プロジェクトの公式な開始を関係者間で確認し、ゴール・進め方・役割分担について合意形成を行う場

プロジェクトオーナー

プロジェクトの最終的な意思決定と成果に責任を負う人

プロジェクトリーダー

プロジェクトの推進・管理を担い、チームを取りまとめる人

プロジェクトメンバー

プロジェクトの実務を担当し、成果物の作成等の業務遂行を行う人

プロジェクトストーリー

ゴールまでの過程をシンプルな要素で表現したもので、プロジェクトの情景(物語)をイメージできるもの

 

関連スキル

ファシリテーション

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関連フレームワーク

プロジェクト憲章

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関連研究・事業

本コンテンツは、総務省行政管理局「行政運営の変革に関する調査研究」事業で作成されたコンテンツを、同局の許諾を得て掲載しているものです。

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掲載年月日

2026年3月

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