■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません
中級
■ 特徴
CVCAでは、サービス(民間ではビジネス、公共・行政では公共・行政サービス)に関わるすべてのステークホルダーを特定します。次に、それぞれのステークホルダー間でどのような価値(お金、情報、製品など)が流れているかを図に描きます。ステークホルダーを円や四角で表し、価値の流れを矢印で示します。各矢印には、具体的な価値の種類を記入します。また、その流れる順番に番号を記入します。
CVCAを描くことで、サービスのステークホルダーとフローの全体像を把握することができます。さらに、ボトルネックやステークホルダーの課題に注目することで、改善点や新しいサービスやソリューションを考えることができます。
このツールを使うことで、新しく考える公共・行政サービスの全体像を把握し、サービスが利用者に提供する価値を理解し、ボトルネックなど実現に向けて注意すべき点を分析することができます。
また既存の公共・行政サービスについても、このツールを使って分析することで、利用者の価値を生んでいるプロセスと改善が必要なポイントを特定することができ、市民の満足度向上や業務の改善点を考えることができます。
■ 利用者・活用シーン
政策・事業立案者
基本計画・事業計画担当者
サービス企画・設計担当者
BPR・業務改善企画担当者
■ 前提・留意事項
特別な前提知識は必要ありません。ただし、分析対象となる行政サービスに関する基本的な知識があると、より深い分析を行うことができます。
■ 使い方
具体化を予定しているサービスについて、「CVCAユーザー向けガイド」に沿って作成していきます。CVCAは一人でも実施して考察す ることができますが、作成途中や結果の分析で、他のメンバーも参加して、誤りや見落とした点の指摘や、課題についての意見をもらうと良いでしょう。
(ワークの流れ)
1. サービスの範囲を定義
分析対象とする行政サービスを明確に定義します。
2. 主要な活動・ステークホルダーを特定
サービス提供に関わる主要な活動とその提供者(ステークホルダー)を洗い出し、時系列に沿って並べます。
3. 各活動の価値を分析
各活動が市民 に提供する価値を具体的に記述します。
4. ボトルネックを特定
価値提供が不足している箇所や、プロセス上の問題点を特定します。
5. 改善策を検討
特定されたボトルネックに対する具体的な改善策を検討します。
(参考時間配分)
サービスの範囲を定義 :15分
主要な活動・ステークホルダーを特定 :30分
各活動の価値を分析 :60分
ボトルネックを特定 :30分
改善策を検討 :60分
(利用教材)
ホワイトボード・マーカー
または ビジュアルツール(PowerPoint(Office)、Miro(クラウドサービス)など)
■ 実績・有用性
市民中心の視点
市民への価値提供に着目することで、真に必要とされるサービスをデザインすることができます。
プロセス全体の可視化
サービス提供プロセス全体とステークホルダーを可視化することで、問題点や改善点を発見しやすくなります。
サービス品質の向上
継続的な分析と改善により、行政サービスの質を向上させることができます。
実績
横浜市「子育て応援サイト・アプリ企画」では、サービスの設計にあたり、サービスやシステムを利用する関係者の整理と、それぞれのニーズの整理に役立ちました。
■ 次のステップ
(参考図書)
バリューチェーン分析に関する書籍
設計の科学 価値づくり設計 石井 浩介 (著), 飯野 謙次 (著) (養賢堂)
デザイン思考に関する書籍
システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」 著者 前野隆司、保井俊之、白坂成功 日経BP
(アドバンス研修・実習)
研修プログラムへの参加
「システム×デザイン思考」を実践に生かすプロジェクト・デザイン合宿研修
主催:慶應義塾大学システム・デザイン研究科附属SDM研究所マネジメントデザインセンター
お問合せ先:慶應義塾大学学生部大学院SDM担当e-mail:sdm@info.keio.ac.jp
【関連情報】
■関連フレームワーク
カスタマージャーニーマップ
シナリオグラフ
サービスブループリント
ペルソナ
WCA(要求連鎖分析 Wants Chain Analysis)
■関連スキル
デザイン思考, ユーザー向けリサーチ
■著作者・連絡先
福田次郎(横浜市CIO補佐監)
■掲載年月日
2025年3月31日
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