■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません
中級
■どんなツールなのか
顧客(エンドユーザー)の行動とプロダクト(またはサービス)に求める価値を時系列で整理し、それを実現するために必要な機能や要件をマッピングして優先順位をつけます。これにより、プロダクトの全体像をユーザー体験の視点で可視化することが可能となります。また、チーム全体で「実現する価値の目的」や「何を優先して提供するのか」を視覚的に捉え、共通理解を深めることができます。
従来は機能単位に開発を進めることが一般的ですが、ユーザーストーリーマップを活用することで、ユーザー行動に着目し、ユーザーにとってどのような価値を提供するかという視点から段階的に開発を進めることができます。
■誰の役に立つのか
プロダクト(システム)開発を価値あるものにするためには、利用ユーザーの視点で考えることは非常に重要であり、プロダクト開発の関係者全員に役立つツールとなります。
プロダクト(システム)開発をリードする責任者
業務部門担当者
開発者
UIUXデザイナー
■前提や予備知識は必要か
ユーザーストーリーマップを作成する前に、「ペルソナ」を作成し、「カスタマージャーニーマップ」を用いてユーザーの行動を分析しておくと、ユーザーニーズをより深く理解した上で検討を進めることができます。
さらに、アジャイル開発におけるプロダクトバックログやアジャイルの見積り方法を理解しておくと、ユーザーストーリーマップがその後のプロセスにどのように繋がるのかをイメージしやすくなります。
■どのように利用するのか(進め方・所要時間)
プロダクトオーナー、関係部門の担当者、開発者が集まり、全員で対話を重ねながら進めます。このプロセスにより、チーム全員が顧客体験のニーズを深く理解し、優先すべき機能を検討できます。これにより、ユーザーが達成したいことについての共通理解が生まれ、優れたプロダクトの創出につながります。
<進め方>
事前準備 : 目指すミッション、ビジョンを確認する
ペルソナを確認する
ペルソナの課題やニーズを確認する
STEP1: ユーザーが利用する際の主要な行動やステップを時系列で整理する
STEP2: ユーザーストーリー(ユーザーが求める機能や価値)を洗いだす
STEP3: ユーザーストーリーを優先順位で並び替える
STEP4: 初期リリースしたい範囲をMVP(Minimum Viable Product)として決める
<所要時間>
スコープとするユーザー行動の範囲にもよりますが、2~5時間程度を想定してください。
■なぜ有用といえるのか(実績等)
①利用ユーザー中心の視点でプロダクトを考えられる
ユーザー体験にフォーカスすることで、ユーザーニーズに合った製品やサービスを開発できます。
②優先順位の可視化
MVP(Minimum Viable Product)を通じて、初期リリースの最小限のプロダクト範囲や優先順位を明確に把握できます。
③プロジェクトチームの共通理解が深まる
チーム全員での対話を通じてプロダクトに対する共通認識が形成され、開発プロセス全体のコミュニケーションが円滑になります。
顧客の体験価値がより重視される現在、一般的なプロダクト開発においては、ユーザーストーリーマッビングは広く活用されている手法です。
特に、行政分野における市民向けサービスや職員向けシステムなど、エンドユーザーを対象とした取り組みにおいても、この手法を活用することで、効果的に価値を提供することが可能です。
■もっと学びたい方は
(アドバンス研修・実習)
特になし
(参考文献とその概要)
「ユーザーストーリーマッピング」 🔗(著者)Jeff Patton
(関連フレームワーク等)
スクラム開発体験ワークショップ
【関連情報】
■関連ケーススタディ
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■関連フレームワーク
◆インセプションデッキ
◆バリュープロポジションキャンバス
◆ペルソナ
◆カスタマージャーニーマップ
■関連スキル
UX, アジャイル開発, ファシリテーション, プロジェクトマネジメント
■関連研究・事業
公共アジャイル推進研究会
■著作者・連絡先
中野安美(Agility Design株式会社)
■掲載年月日
2025年1月
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